いつも記事を読んでくれて本当にありがとうございます!
「いじめ-ラボ」管理人の「はかせ」と申します。
今回の記事は自分が病気やケガをした時に医者に書いて貰う「診断書」をテーマにして、
『我が子がいじめに遭った時、「診断書」を使って解決に導く方法』
についてまとめて行きたいと思います。
我が子が実際にいじめの被害に遭ってしまうと、暴力などのケガや悪口などで心の病にかかってしまう事が多いと思います。
暴力のケガであれば「実際に目に見える形」で残るので、「いじめ」と「ケガ」の関係性(因果関係)を診断書を使って証明する事は比較的スムーズにできると思います。
問題は悪口などの「直接証明する事が難しいいじめ」の場合で、「心の傷」が目に見えることが無いので「いじめ」の関係性を証明する事は非常に難しくなります。
被害を受けた事を証明できなければ学校に訴えても動かない場合もあり、時間がドンドン過ぎて他の問題(不登校、出席日数が足らないなど)も併発してしまう恐れがあります。
今回の記事ではそんな現代のいじめ問題の解決策の1つとして、「診断書」にフォーカスを当てて被害を証明する手立てについてまとめて行きますので最後までご覧下さい。
※この他にもこのサイトでは私たち家族が子供の被害を通して感じた事や学んだ事をベースにまとめていて、記事形式にして紹介しています。
「いじめ」が他人ごとでは無く明日は我が子に降りかかる問題であり、風化させない為にも実体験を基に記事にまとめています。
もし、我が子が不登校になってどう守って行けば良いのか分からなくなった時にも、あわせて読んで頂ければお役に立てる内容となっています。
実際に裁判を起こしたり、専門家の方のお話を聞いたりと解決策に向けて取り組んできた事の内容を書いていますので是非1度読んでみてください!!
※いじめ問題と過去の裁判や判例についてまとめた記事はコチラ!!
意外と知られていない「診断書」の中身について
診断書とは、皆さんが知っている様に「医師」が診断した内容を詳しくまとめた書類になります。
- 症状の名称
- 診断した医師の所見
- 症状を治す時の注意点
- 完治するまでの期間
など、その病気にかかった理由などが詳しく書かれている書類になります。
しかし診断書は「病状」や「治療期間」や「結果」について書いている書類であり、仮にいじめの状況や内容をはじめ「受けた被害」などを証明する事が書いていたとしても医師は詳しい状況を知らないので「事実を証明する書面」として認められない場合があります。
暴力などの被害であれば話は別ですが、悪口などのいじめだと「心にダメージ(うつやPTSD、統合失調症など)を受けた事」を証明する事は非常に難しく、より詳細なデータを引き合いにして事実確認をしなければなりません。
要は、「どんな」被害を受けて「どんな」傷(心の傷)を負い、今の現状(うつやPTSD、統合失調症など)になったのかを証明しなければならないと言う事です。
診察した医師の「診断書」1枚だけでは我が子が受けた心の傷を証明する事は難しいと言えるでしょう。
なぜ、診断書だけでは「いじめの解決」が難しいのか!?
なぜ、診断書だけだと「いじめの解決」が難しいのか!?
先ほどまとめた様に、診断書は「症状」や「治療期間」をはじめ「今この病気(ケガ)になっていて治るまでこれくらい掛かります」という証明するものだからです。
このいじめに遭っているからこの病気(ケガ)になりましたと証明したいのであればもっと詳しい状況証拠がないと「被害」と「診断書」は線で繋がりません。(体のケガであれば話は別で、比較的容易でしょう)
例えばいじめで「うつ」になった場合を考えてみると、どういう症状(パターン)で「うつ」と診断されるのか基準を定めたものがあり、有名な基準で言えば「国際疾病分類(ICDー10)」や「うつ病エピソード(DSMーⅣ、Ⅴ)」があります。
今回は「ICDー10」(様々な国から疾病や傷害、死因などのデータをとって世界保健機構が統計をまとめた分類の事)の内容を例に「うつ」と判断される為の要件をまとめてみました。
その要件は次の通りで、
- 集中力の減退
- 自己評価と自信の低下
- 罪責感と無価値間
- 将来に対する希望のない悲観的な見方
- 自傷あるいは自殺の観念や行為
- 睡眠障害
- 食欲不振
これらの要件を総合判断して、「うつ」であるかを見極める事になります。
しかし、その原因が「いじめ」であると証明する事は簡単ではありません。
例えばこれらの症状の成立要件が次の様に判断されてしまえば...
- 集中力の減退⇒(親との関係が悪化したから)
- 自己評価と自信の低下⇒(幼少期の親の虐待による)
- 罪責感と無価値間⇒(幼少期の親の虐待による)
- 将来に対する希望のない悲観的な見方⇒(幼少期の親の虐待による)
- 自傷あるいは自殺の観念や行為⇒(幼少期の親の虐待による)
- 睡眠障害⇒(進学や将来に対する不安、ストレスによる)
- 食欲不振⇒(進学や将来に対する不安、ストレスによる)
我が子が「うつ」になった原因は「親の躾」が原因だと判断されてしまう危険性があります。
実際、学校はこの様に判断させるために動く事もあるかも知れないので、いじめの事実関係を集めて証明する様にしなければ「いじめがあったから、こういう症状になった」と認めて貰う事は難しいでしょう。
医師の診断書を「いじめの解決」に結びつけるには
いじめで受けた被害(身体的なもの、精神的なものなど)を診断書で表したとしても、実際にいじめとの因果関係を認める事は難しく対応が遅れる場合もあります。
あくまでも我が子が受けたいじめを証明する事をベースに、
- 被害内容は何なのか
- 誰がやったのか
- いつからなのか
- どんな症状なのか(診断書はあくまでもこの部分)
- 「症状」と「いじめ」との関係(こうだったから、こうなった)
いじめの証拠を自分たちで集めて、早めに専門家(弁護士)に相談すべきでしょう。
さらに、過去の判例を調べた時に「診断書」を活用する上で重要なポイントがあったのでまとめてみました。
診断書を書いた日
精神的な被害(例えばうつだったり、統合失調症だったり)は「目に見えない」ので、いつからその被害を受けていたのかが分かりづらくて解決までに時間が掛かってしまう大きな要因でもあります。
精神的な被害を医師に早めに訴えていた場合(診断にも時間が掛かってしまいますが)、診断書が書かれた日付と「いじめを受けた日」が密接に関連していれば「いじめがあったからその被害を受けた」と証明する事が出来るかも知れません。
先ほど参考文献で紹介した『H19.3.28東京高等裁判所 平成17年(ネ)第5173号損害賠償請求控訴事件』では
- 被害生徒がいじめを受けていた期間は中学校2年生の終わりから中学校3年生の2学期である
- 被害生徒が中学校3年生の2学期に不登校になった時には「うつ」になっていた
- いじめがエスカレートした中学校3年生の1学期に「うつ」に掛かっていたとは言えない
- 中学校3年生の2学期になってから学校の対応が不登校を改善する様に動いていた事(2学期からの学校の対応について安全配慮義務は認められない)
と判断され、中学校3年生の1学期までのいじめについては安全配慮義務違反を認めるけれど2学期からの学校の対応については安全配慮義務違反は認められない(自殺とうつとの因果関係も認められない)と判断されてしまいました。
もし中学校3年生の1学期の時点で診断書で「うつ」と判断されていた場合には、「被害」と「うつ」との因果関係が認められて「自殺」との関係性についても違った判決がされた可能性が非常に高いでしょう。
療養に必要な期間はどれ位なのか
診断書を書いてもらう時には「療養に必要な期間」についても書かれる事があります。
この療養に必要な期間は症状によって変わってきますが、この期間は病欠扱いとなり「欠席」とされる場合がほとんどでしょう。
もし、いじめの事実関係が証明され「ケガ」や「精神的な被害」との関係性が認められる場合には、長期欠席が被害の深刻さを表す事になり「重大事態」として認識される可能性が高くなります。
問題が重大事態と認識されるようになる為には明確な指標はありませんが、日数的には「不登校」の定義を当てはめ「約30日前後」受けた被害が原因で学校を欠席してしまうと重大事態に該当する可能性が出てきます。
※「いじめの重大事態」について詳しくまとめた記事を載せていますので、一度読んで見てください。
「重大事態」と認識されると、保護者に対する情報提供や「第三者機関」の設置など学校が積極的に介入してくれる様になります。
「いじめ防止対策推進法」では「重大事態」についてこう書かれています。
第五章 重大事態への対処
(学校の設置者又はその設置する学校による対処)第二十八条 学校の設置者又はその設置する学校は、次に掲げる場合には、その事態(以下「重大事態」という。)に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに、当該学校の設置者又はその設置する学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行うものとする。
一 いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。
二 いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。
2 学校の設置者又はその設置する学校は、前項の規定による調査を行ったときは、当該調査に係るいじめを受けた児童等及びその保護者に対し、当該調査に係る重大事態の事実関係等その他の必要な情報を適切に提供するものとする。
3 第一項の規定により学校が調査を行う場合においては、当該学校の設置者は、同項の規定による調査及び前項の規定による情報の提供について必要な指導及び支援を行うものとする。
出典元:文部科学省 いじめ防止対策推進法
さらに学校を長期で休んでしまうと、その分勉強が遅れる危険があります。
特に中学生であれば高校進学の内申に影響してしまう可能性や、高校生であれば欠席がそのまま単位修得に影響してしまうでしょう。
そこで文部科学省では「学校に行きたくても行けない生徒」の為に出席認定の要件について公表しています。
学校に行けなくても被害の内容や回復までの期間を診断書で関係性を表す事が出来れば、我が子の学習機会を確保する事が出来るかもしれません。
私たち家族の時も学校との話し合いで家での学習状況と学校に来れる時に別室で補習を受けたりしながら出席認定を貰う事が出来たので、学校に相談すると良いでしょう。
診断書を「頼むだけ」ではダメ!いじめの解決に役立てる方法について まとめ
今回の記事は自分が病気やケガをした時に医者に書いて貰う「診断書」をテーマにして、
『我が子がいじめに遭った時、「診断書」を使って解決に導く方法』
についてまとめてきました。
診断書で勘違いをしてしまう事の一番多い理由として、「診断書があれば証拠は取れた」と思ってしまう事です。
診断書はあくまでも「医師の専門的な知識を元に診察してみた結果」を表しているだけなので、証拠以前の問題になります。
必要なのは「診断書に書かれた症状」と「被害の内容」に関係性が認められるのかであり、診断書1枚で問題を解決出来る場合はほんのわずかでしょう。
あくまでもいじめは事実関係を明確にする事が不可欠で、受けた被害に対しては自分自身で証明していかなければなりません。
また、事実関係を明確に出来たからと言って「いじめ」が解決するわけではありません。
被害を受けて学校に行けなくなったり、うつなどの精神疾患をかかってしまう事もあるでしょう。
そんな時に備えて、診断書の所見を元に「学校に行けない時の対処法」についても併せて相談していく事が必要です。
今回の記事では「文部科学省」が公表しているガイドラインを紹介しつつ、出席認定を受けるための具体的な内容(認定を受けた事例)も紹介していますので一度読んでみてください。
我が子のいじめで悩んでいたら...
この記事で書いた事や「いじめ-ラボ」でまとめている内容は私たちの子が実際に受けたいじめをベースにまとめています。
さらにこの記事を読んでいるあなたをはじめ、今現在いじめで悩んでいる方々に少しでもお役に立てれる様に日々勉強をしています。
そこで「いじめ-ラボ」では記事の紹介だけで無く「これからどうやってこの問題と向き合って行くか、分からない事」などについて随時相談を受け付けております。
- 我が子にいじめが発覚して、これからどうして良いのか分からない
- 学校がキチンと対応してくれなくて不安だ...
- 子供の様子がいつもとおかしい
- 誰にも相談出来なくて、今の気持ちを聞いて欲しい!
など、私たちの経験を基に記事に書いていない事なども答えられる範囲でお答えします!!
長文になりましたが、最後まで読んで頂き本当にありがとうございました。
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