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こんにちは!
いじめ-ラボ管理人の「はかせ」と申します。
今回の記事は2017年に北九州で起きたLINEによるいじめによって自殺してしまった高校生の事件を基に「いじめと自殺との因果関係に」ついて考えて行きたいと思います。
テレビなどやこのサイトでまとめた「自殺事件」についての記事でもよくある事なのですが、いじめによって自殺した事は明らかと思われても実際には「自殺との因果関係」が認められず裁判で棄却されてしまうケースが結構多いです。
「いじめの存在」がある事は比較的認められやすいのですが、なぜ「自殺との因果関係」が認められにくいのかをこの記事では可能な限りまとめて行きたいと思っています。
ある日突然我が子が自殺をしてしまった。
我が子を失った悲しみと奪われた怒りで何をどうすれば良いのか分からなくなると思います。
時間が経っても苦しみと悲しみは癒える事はなく、せめて我が子の無念を晴らす事が出来ればと裁判で真実を明らかにしようとする方が多いでしょう。
今の裁判ではありのままの事実を知る事は非常に難しいと言わざるを得ません。
なぜならば私たち遺族側が「被害に遭った事」を立証していかなければならず、被害者である我が子は自殺してしまっているので証言や立証が難しい事が挙げられています。
また、時間が経ったときに証言の内容や記憶が曖昧になり立証が難しくなる問題や子どもの影響を考えて立証や証言を断る場合もあります。
数少ない自殺との因果関係を認めた判例を挙げながら、いじめ問題への対策などを一緒に考えて行きましょう。
この問題で自殺を選んでしまう子を可能な限り減らして行ける様に頑張ってまとめて行きたいと思います。
※この他にもこのサイトでは私たち家族が子供の被害を通して感じた事や学んだ事をベースにまとめていて、記事形式にして紹介しています。
「いじめ」が他人ごとでは無く明日は我が子に降りかかる問題であり、風化させない為にも実体験を基に記事にまとめています。
もし、我が子が不登校になってどう守って行けば良いのか分からなくなった時にも、あわせて読んで頂ければお役に立てる内容となっています。
実際に裁判を起こしたり、弁護士や行政書士の方のお話を聞いたりと解決策に向けて取り組んできた事の内容を書いていますので是非1度読んでみてください!!
※いじめ問題についてまとめたサイトはコチラ!!
『いじめ-ラボ』
北九州小倉南区で起きたLINEいじめ自殺事件について
今回紹介する事件は2017年に起きたLINEによるいじめによって自殺してしまった女子高校生の事件です。
当時高校2年生だった女子高校生が近くの墓地で首を吊って自殺し、彼女が使っていたLINEには遺書と思われる内容が残っていたために「いじめ」との関連性を疑われていました。
この女子生徒が普段受けていた被害は
・悪口や陰口
・仲間はずれ
・昼休みにお弁当を食べるときにクラスのみんなが彼女を避ける様にクラスを出て独りぼっちで食べなければならなかった
・1年生の終業式でワザと写真に写らないようにされた
といった間接的に追い込む形でいじめが横行していた事が判明しています。
被害に遭った期間は不明ですが、「終業式の写真にワザと移らないようにされた」とありますので1年生初期段階から継続して被害に遭っていた事も考えられます。(単発的ないじめとは考えにくい)
年単位で被害に遭われていた計算になりますので「加害者生徒」に対する責任は非常に大きい物だったと考えられます。
学校の対応について
今回の自殺を受けて学校側は保護者会を開き事態の説明をしますが「友人関係のもつれ」と話していじめについては触れる事はなかったとされています。
それと併せて学校は一部生徒に向けてアンケート調査を行い「いじめはなかった」と判断。
遺族側がこの結果に納得出来ず独自で調査を進めると関係性が認められる内容が数件挙がり、学校側に申立てると今度は全校生徒対象でアンケートを再調査。
数十件のアンケートを基にさらに聞き取りをした結果、先ほど書いた内容のような行為があった事が判明します。
いじめの存在は認められる事となり今度は自殺との関係性について調査が始まりましたが、結果から書いていくと「自殺との関係性」は認められないとの結果になっています。
その後の対応は明らかになっていませんが福岡県に対して再調査を申立てたとのされる文献もありますが、もしかすると裁判で争う事となったのかも知れません。
裁判は年単位で掛かるので、もしかするとニュースで報道される可能性もあります。
今回の事件に関わらず、問題の存在を認めているのにも関わらず自殺との関係性は否定する事例が非常に多くなってきています。
関係性を否定する事は第三者委員会でも裁判官でも同じなのですが、「問題あった」事と「自殺」の事実があるのであれば関係性は認められるのではないのかと思われると思います。
なぜ自殺の原因がいじめと認められないのか??
考えられる理由を次の段落で独自にまとめて行きたいと思います。
いじめと自殺との因果関係について
いじめが存在していたのに(認められている)自殺とは関係性が無いとされてしまう。
一体何故なのか!?
考えられる内容としては「いじめ」が「死」に繋がるという考えがまだ定着していない事が挙げられると思われます。
あれだけの生徒や子どもが犠牲になっているのにも関わらずまだ「死」との関係性は無いと考えられていると言うことです。
裁判などで問題になった時に使われる考えの1つに「相当因果関係」というものがあります。
簡単に言うと「ある事実」があったから「被害」が起きたと言う風に関連性に着目した考えになります。
実際にはこれだけで無く学校の「安全配慮義務違反」で考えられる様な「加害者側が予見する事が出来たのか」についても言及される事もあるようです。
具体的な例として2014年に判決が下された「群馬県の自殺事件」ではこのように言われ、いじめと自殺との因果関係を一部認めてはいますが基本的な関係については否定しています。
・過去の事例でいじめと自殺の関係は周知されているけれど、それだけでは自殺が「予見可能」だったとは言えない事
・家での様子や学校の様子などで自傷行為やほのめかす言動がなかった場合にはすぐさま自殺するとは考えられない
・首つりをしようと考えた事は以上の事を踏まえて計画していた事では無いと考えられる為衝動的に自殺を図ったと思われる
と裁判官は判断し、群馬件のこの事件は自殺との因果関係を一部のみ認める形となりましたが、そのほとんどを否定する判決となっています。
また次の事例は愛知県名古屋市で起きた自殺事件でこの判例では次の様に判決を出されています。
・いじめを受けてから自傷行為が頻繁に行われていた
・遺書がある
・被害生徒がいじめが原因で解離性性同一性障害になった事(当時の意思の判断の基となる文献から判断)
・いじめの内容が悪質なので「重大な過失」として認められる
・例え被害者の自傷行為に学校が気づく事が無くても「知らなかった事」について重大な過失が認められる可能性が高い
・「いじめ」=「解離性同一性障害」=「自殺」の因果関係を認める
※ただ、今回の愛知県の自殺事件については母親が検査入院で娘の元を離れてしまった事についても過失原因と捉え、約7割減の損害賠償請求権を認める事となっています。
さらに、栃木県鹿沼市で起きた自殺事件についてだとこのように裁判では判断されています。
・暴力といった被害が多く「目に見える被害」であったのにも関わらず先生は何も対策をしなかった
・当時の学校の見解は「自殺は進学に対する不安から」としていたが、裁判所はそれを否定。
・少なくとも夏休み前(いじめは2学期も続く)にはいじめが日常的に行われていた。
・2学期以降は被害も少なくなっていたので自殺した時期と合せると学校側に自殺を予見するほどの被害はなかったと判断されてしまう。
・判決内容も夏休み前までのいじめについては責任を認めるが、それ以降のいじめについても存在は認めても自殺に対する責任までは認めなかった。
以上の様に判決が下されてしまい、損害賠償金額もこれから有望な子どもが1人死んでしまっているのにも関わらず少額の賠償金のみを認める内容となってしまいました。
ここまでこのサイトでまとめた事例を3つだけ例に挙げて「自殺との因果関係」に対してどんな判断をしてきたのかを紹介してきました。
現実問題、いじめと自殺に対する因果関係を証明する事は非常に難しいと言わざるを得ません。
しかし、先ほど紹介した2番目の愛知県名古屋市の事例を見てもらうと分かる通り自殺との因果関係を認めてもらう事が出来た例もあります。
ポイントとしては、
・前から自傷行為など「自分自身を傷付ける事」があった
・遺書が残っている事
この2つが非常に大きいと思います。
子ども1人が自殺してしまう決断は想像出来ないくらいに重い内容ですが、いざそれを立証したり認めてもらうにはやはり「形」が無いと認めてくれないのが今の裁判制度の弱点でもある事が分かったと思います。
私たち親がこれから出来る事はどんな事??
先ほどいじめと自殺との因果関係について具体的な事例を挙げて調べてきましたが、もし我が子が自殺してもその責任は追及する事が困難であると言う事が判明しました。
我が子を失っているのにも関わらず、その死の原因は加害者や学校のせいであると証明出来ない事になります。
このサイトで「自殺だけは絶対に避けなければならない」と何回か書かせて頂いていますが、こういった理由があり書かせて頂いています。
もちろん、これだけが理由ではありませんが「若いこれからの命」を掛けてまで学校に行く必要は今の時代は無いと言えるでしょう。
今必要な事は、
・本当に必要だと思う事は自分で見極める力
・集団行動では無く、自分の感じている事をブレずに持ち続ける事
なのだと私は感じます。
実際に我が子がいじめの被害に遭ってから著しく「自己主張」する事は無くなりました。
一見反抗する事無く言う事聞いてくれるから楽だと感じる事あるかも知れませんが、ウラを返せば「周りにどう思われているのか」だけしか考えなくなる事に繋がります。
実際に何かを選ぶ時にも「何でもいい」だったり、「どっちでも良い」「もう良い」といった言葉が増えて自分の意見よりかは周りの意見に振り回されると言った感じが多くなりました。
本当であれば、高校生になれば好きなことや興味を持った事など沢山あるはずなのに「周りの目」だけが気になりすぎて「本当の意味でのやりたい事」について自己主張出来なくなった事が一番の痛手と言っても過言ではないです。
これからの時間は「自分の為の時間」だと言う事を知ってもらい、人生に悔いが残らないようにサポートする事が必要になってくるのでは無いかと最近よく思う様になりました。
そのためにも「よく話を聞き」「よく子どもを見て」「子どもと会話をする」この3つが私たち親に必要な力になってくると考えています。
まとめ
今回の記事は2017年に北九州で起きたLINEによるいじめによって自殺してしまった高校生の事件を基に「いじめと自殺との因果関係に」ついて考えてきました。
今回の事件で高校2年生の女子校生が自殺してしまうといった痛ましい結果となりましたが、その後の内容などを確認していくと「ある共通点」が浮き彫りになる事が判明しました。
今回の事件で浮き彫りとなった共通点とは「いじめと自殺との因果関係」を立証する事は非常に難しいと言う事です。
過去に起きた事例(判例)を挙げさせて頂きましたが、認められた判例を確認すると遺書があったり自傷行為が見られたりと「自殺が他から見られるくらい深刻」になっていないと認められない事が分かりました。
このサイトでまとめた記事とかでも自殺するのは「衝動的」な場合が多く、予め自殺しますと決めて過ごしている子はほとんどいません。
なので、自殺との因果関係を立証する事に力を注ぐよりも「いかに自殺を食い止めるか」が大事になっているかが分かると思います。
親にとって自分の子どもが先に死んでしまう事ほど辛いものはありません。
そうならないためにも、これから我が子とどのように接して行くかを真剣に考える時期になっていると私は考えています。
「いじめ-ラボ」ではサイトを運営しつつ、いじめ解決に必要な事は何なのかを調べています。
「いじめ-ラボ」で少しでもいじめについて考える機会が増えたら嬉しいです!
長文になりましたが、最後まで読んで頂き本当にありがとうございました。
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