いつもご覧頂き本当にありがとうございます。
管理人の「はかせ」と申します。
今回は「いじめ 裁判」というキーワードで
実際にあった裁判事例を紹介しつつ、
裁判でいじめを認めてもらうには
どうしていけば良いのか
まとめた記事になっています。
なぜ実際にあった裁判の内容や
判決をまとめる必要があるのかと言うと、
いじめを裁判で争うときに
- 「いじめ」の何が問題になっているのか
- 事実の証明で「認められたもの」と「認められなかったもの」の違いは何か
- 「学校の対応」で問題となっているものは何か
- 実際にどれ位の期間が掛かるのか(事件の日と判決の日が書かれているから)
など、いろいろな情報を知る事が出来ます。
(私たちがなかなか知り得ない事)
いざ裁判をやろうと考えても
実際には大勢の人と時間と
お金が掛かってしまうのは、
これを読んでいるあなたも
知っている通りだと思います。
さらに裁判で必要な証拠は
自ら集めなければならないので、
証拠として認められる内容は
どういったものなのか
予め知る事も出来るでしょう。
判例は、今後このような痛ましい事件を
起こさないようにする為の
教訓という意味合いの他に、
加害生徒側や学校の対応について
責任を問う為の方法や
経緯についても書かれています。
本当に「いじめで自殺する生徒を減らす」と
考えているのであれば、
単に痛ましい事件がありましたと
過去形にするだけで無く、
・「事なかれ主義」の今の学校で、加害生徒や学校への責任を問う為にはどうすれば良いのか
私たち自身が判例を見て
考えて行くべきだと私は考えています。
法律は知っている者のみを助け、
知らないままの者には手を差し伸べる事は無い
弁護士だけに任せっきりでは無く、
我が子の事は私たち親がしっかりと
守って行かなければならないと思います。
この記事で紹介する判例は、
平成14年広島県で起きた中学校いじめ事件
の内容となっています。
この判例で注目すべき内容は、
いじめによる影響で
「統合失調症」になった場合に
「いじめの損害」として認められた
と言う事です。
統合失調症とは「考えている事」と
「気持ちの内容」が一致せず、
情緒が不安定になる精神疾患の一つ。
時には幻聴がしたり、
気分が一気に落ちたり、
怒りだしたりと
「気持ち」の起伏が激しいのが
特徴の病気になります。
この裁判でも被害者である生徒(A君)は
「ショベルカーに乗った男が殺しに来る」と
訴え学校を暫く休みます(不登校になる)。
この記事では今回起きたいじめを
先ほどの「統合失調症」との
因果関係も含め、
- 「いじめ」の内容
- 学校の対応
- 裁判でどう認定されたのか
を中心にまとめています。
いじめを裁判で争う場合には
「いじめ」と「被害内容」との因果関係が
認められなければ成りません。
外から見て分かる被害内容であれば
(例えば傷や後遺症など)
因果関係を証明する事は
比較的にしやすいと思いますが
今回の様な目に見えない
内面の傷は証明が難しくなります。
(統合失調症をはじめとする精神疾患など)
しかし、いじめの大半は
この「目に見えない内面の傷」が深刻であり
誰にも分かってもらえず
自殺まで選んでしまうのが現実です。
今回の裁判ではどんな経緯を経て
「統合失調症」と「いじめ」の
関係が認められたのか!?
この記事で詳しく見ていきたいと思います。
※この記事の他にも統合失調症をはじめとする「精神疾患」と「いじめ」に関連した記事を載せていますので紹介させて頂きます。
※この他にもこのサイトでは
私たち家族が子供の被害を通して
感じた事や学んだ事をベースにまとめていて
記事形式にして紹介しています。
「いじめ」が他人ごとでは無く
明日は我が子に降りかかる問題であり、
風化させない為にも実体験を基に
記事にまとめています。
もし、我が子が不登校になって
どう守って行けば良いのか
分からなくなった時にも、
あわせて読んで頂ければ
お役に立てる内容となっています。
実際に裁判を起こしたり、
弁護士や行政書士の方のお話を聞いたりと
解決策に向けて取り組んできた事の内容を
書いていますので
是非1度読んでみてください。
※いじめ問題についてまとめたサイトはコチラ!!
『いじめ-ラボ』
裁判で争われた「いじめ」の内容とは!?
今回の裁判で明らかとなった
「広島県の中学校」で起きた
いじめの内容とはどんなものだったのか!?
「統合失調症」にまでなった
凄惨ないじめの内容とは何だったのか!?
箇条書きにまとめてみました。
【いじめの内容】
- 文房具を投げる、壊す
- シャープペンで被害者の子の手を刺す
- 首を絞める
- 羽交い締め
- 石を投げる
- 水をかける
- 蹴る
- 悪口(キチガイ、貧乏人、障害者など)
- 万引きをしたことをもとに脅迫する
これらの内容を見ていくと、
被害者の生徒に対して「からかい」ではなく
「悪意」を持って接し暴力を働いたと
言える内容となっています。
(中には大けがをさせるものも)
中学校2年生の始め頃から
被害者A君に対するいじめが
見られるようになり、
中学校卒業するまで継続的に(毎日)
いじめられていたようです。
項目の一番下の
「万引きをしたことをもとに脅迫する」
という内容は、
いじめっ子グループに
「運動神経が無い」「臆病者だから」
と馬鹿にされ
意地になって万引きをした事が元で
脅迫されてしまうと言う内容になります。
中学校の子供によく見られる
いじめの傾向として
「暴力」と「お金」に関するいじめが
非常に多くなります。
小学校とは違い「力」も
大人に準じて強くなりますし、
「金銭の恐喝」では時に数万円にまで及ぶ
事例も珍しくありません。
子供の体で見えない部分に
アザが残っているのであれば
(例えば背中や脇腹、二の腕など)
「いじめ」を受けている事を
疑った方が良いかもしれませんね。
※今回の中記事とは別に「中学校のいじめ」について傾向別に詳しくまとめた記事を載せているので一度読んでみてください。
特に「統合失調症」になった大きな要因は
「万引き」したことを元に
お金を加害者(B、C、D、Eの4人)から
せびられていた事が大きい様です。
- 「万引き」したことを警察に通報する
- 万引きした商品のお金を代わりに払っておいたから、その分払え!
- 立て替えた分を払わないと利息を取る
- 黒板に「万引き男」と書く
- 自宅にまで押し寄せて「万引き男」と言いふらす
などといった事が裁判で明らかになっています。
確かに万引きは犯罪で、責められるのは
致し方ない部分があると思いますが、
加害生徒側がその事実を逆手に取って
脅迫する事は別問題になりますよね。
被害者のAは家でもクラスでも
ずっと脅迫される事になり
非常に大きなストレスを
抱えることとなります。
中学生くらいの年齢なら
「万引き」で通報されたとしても
「逮捕」まで行かない事は
分かるかも知れません。
常日頃「警察」と「お金」のキーワードで
脅迫されてしまえば
大人でもストレスは
かなり掛かる内容だと思います。
結果、「日頃のいじめ」と
「万引き関連の脅迫」が合わさって
被害者のAは「統合失調症」と
なってしまいます。
学校の対応はどんな対応だったのか!?
裁判で明らかになった
学校側の対応はどうだったのか!?
保護者と話し合いをしたり、
具体的な解決策をとったりしたのか!?
裁判で明らかになった内容を
まとめていきます。
【学校の対応の内容】
- 加害者であるB、C、D、Eの4人がAをいじめている現場を見ても特に注意をする事も無い。したとしても「その辺にしとけよ」で終わり。
- いじめの現場が「職員室」や「クラス」のテラスで行われていても「いじめとは感じなかった」と発言
- 主犯格とされるBは日頃から問題(Aとは別の生徒に悪質な嫌がらせ)を起こす生徒として教師間で有名であり、問題の度にBの両親に連絡を入れている
- 「いじめの内容」で挙げている「シャープペンで被害者の手を刺す」事件の時にはAの両親には連絡を入れず、当事者の生徒からの事情聴取もしていない
簡単にまとめると裁判で明らかになった
学校の対応はこのようになります。
学校側の対応で共通している事は、
- 「いじめを他人事」として見ている事
- 「学校側の物差しで判断」している事
がこの一覧で分かると思います。
※今回の事例の様に「学校の対応」に不満があった時の対応についてまとめた記事を紹介していますので一度読んでみてください!
さらに今回の学校の対応で「Bの両親」には
「Bが日頃問題を起こす生徒」として
連絡・指導や注意を促している事が
明らかになっています。
しかし今回のいじめ問題で加害者とされている
残りのC、D、Eの両親には
特に問題があっても連絡する事はせず、
また3人の生徒も問題を起こす
生徒ではない様で特段の指導も
していませんでした。
同じ「いじめ」をした加害生徒なのに
普段の生活態度などで
「問題児」と「普通の生徒」の対応に
差を付ける学校の対応は
本当に許されるものなのでしょうか!?
では実際にBの両親だけに
学校からの指導や連絡を受けた事が
判決にどの様な影響を及ぼしているのかを含め
この事件について裁判所は
どのような判断を下したのかを
まとめて行きたいと思います。
裁判で争われたポイント
今回の裁判で争点となったポイントは
以下の通りになります。
ほとんどのいじめ裁判で
共通する内容となるもので、
- いじめ加害者側の行為が不法行為を構成するのか
- 「学校側」の対応に「責任」が認められるのか
- 加害者側の保護者に対する「責任」が認められるのか
の3つが大きな争点となります。
今回の裁判で原告側が請求した内容は
- 被告らは、Aに対し、連帯して各自1100万の損害賠償金を支払う
- 被告らは、Aの父親に対し、連帯して各自約570万の損害賠償金を支払う
- 被告らは、Aの母親に対して、連帯して各自約950万の損害賠償金を支払う
※被告らはB、C、D、Eと
その両親の合せて11人と
学校を管理する広島県を指します。
そして、実際に裁判ででた判決は、
- BとBの両親、C、Dと広島県はAに対し、連帯して各自約660万の損害賠償金を支払う
- Eは、Aに対し、約30万の損害賠償金を支払う
- BとBの両親、C、Dと広島県はAの父親に対し連帯して各自約7万の損害賠償金を支払う
- BとBの両親、C、Dと広島県はAの母親に対し連帯して各自約130万の損害賠償金を支払う
となりました。
請求金額全体で見れば
「減額」されていますが、
おおむね被害者側の請求を
認めた内容となっています。
今回の裁判でおおむね認められた経緯を
先ほどの3つの争点となるポイントに
分けて見ていきましょう。
いじめ加害者側の行為が不法行為を構成するのか
今回の裁判ではBCDEが行ったいじめは
「不法行為」として認められました。
Bについては今回の件の主犯格として認められ
「首締め」や「石を投げる」などの行為には
言い訳が許されないと裁判で認められました。
「首を絞める事」が「死」に繋がる事や
「石を投げる」とどうなるかは
「責任能力」が認められる年齢の中学生ならば
「危険行為である」事は一目瞭然。
Bの言い分として、
「Aは本気で嫌がってはいない」と
反論していますが、
やった行為は「危険行為」と
認められているので
この言い分は採用されませんでした。
他のCDEも同様とされていますが、
Eについては今回のいじめでは
「羽交い締め」と「悪口」だけと言う事から
不法行為が認められるも
「損害賠償金」は少なめとなっています。
そして、「万引き」事件が引き金になった
統合失調症といじめの関連性についてですが、
万引きの事実を利用して脅迫し、
そのストレスによって統合失調症を誘発したと
関連性を認めています。
Aの自宅まで来て「金銭」の強要を
迫っていた事が明らかになり、
加害者側の「違法性」を認める
要因の一つとなっています。
自宅まで来て言いふらすとなると
近所の方にもバレますし、
何より「やってしまった事実」が
重くのしかかりストレスは
かなり重かったと思われます。
「やってしまった事」は悪い事ですが、
それを利用して「脅迫」する事とは
また別問題になりますよね。
裁判では医師側の意見にも触れていますので
引用させてもらいます。
統合失調症は,何らかの脳の生理学的・生化学的機能や構造上の異常が
あり,そのためにストレスとなる出来事に対して十分対応できるだけの脳
の強さを備えられなくなって発病すると一般的には考えられている。そして,上記の脳の脆弱性としては,遺伝的なもの,出生前のウイルス感染,早期の頭部外傷,出生時の産科的異常などが想定されている。このような脆弱性を基盤とし,ストレス状況で発病,再発するという考え方を代表す
るのが統合失調症の脆弱性-ストレスモデルである。統合失調症は脆弱性の高い人ではわずかなストレスで発症するが,脆弱性が低い人でも強いストレスにさらされると発症する。生物学的アプローチをとる研究者は,多くの統合失調症患者は脆弱性の高い方に位置すると考えている。
また,脆弱性の低い人に見られる症状は,統合失調症の中核群というよりも,反応性の要素の強い,より周辺群に位置すると考える傾向がある。
この様に「強いストレス」により
「統合失調症」になり得る可能性を
認めている判決となっています。
「学校側」の対応に「責任」が認められるのか
今回の裁判でもう一つの争点「学校の対応」に
不備は無かったのかどうかについて
調べて行きましょう。
この件については前述の
「学校の対応はどんな対応だったのか」
でも書いていますが、
いじめが職員室の側で行われていても
先生は見て見ぬフリだったそうです。
Aと加害者一同がいじめをしている所を
先生が見た時には「その辺にしとけよ」と
一言をかけただけ。
裁判では学校側が「いじめと感じなかった」と
発言している事から、
実査に「その現場」を見ている事が推測され
不当性を証明する事となりました。
仮に学校側の「いじめと感じなかった」と
言う事を信頼するとしても、
実際に行われたいじめの内容が
「暴力」や「石を投げる」などの
危険行為になります。
なので、「大人である先生側」が
今回裁判で明らかになったいじめの内容を
「いじめと感じない」とすれば
学校側の言い分はそもそも
信頼出来るものでは無いことになります。
結果的に学校側の「責任」が
認められる事になりました。
加害者側の保護者に対する「責任」が認められるのか
今回の裁判で加害者側の
「責任」が認められたのは
「Bの両親」のみになります。
何故、Bの両親だけ認められて
他の保護者は認められなかったのでしょうか?
責任が認められるのかの分かれ目は
「学校からの連絡」にあり、
この「責任」を認めさせるには
以下の要件いずれかを満たす必要があります。
- 学校生活に問題があり、何度か学校からその生徒の親に連絡を入れても何の改善も無い
- 実際にいじめの事実が確定して該当する生徒(いじめっ子)に指導し、家族にも連絡したが何の改善も無い
と言う風に、我が子が行った事を
親が知っているのか、
そして、そのことについて
改善・指導をしたのかが
ポイントになっています。
そして、今回の裁判ではBの両親にのみ
学校から連絡を受けている事が
判明しています。
その他のCDEが起こした問題は
「大した問題でも無いし、いじめではない」と
当初の学校の認識が影響して3人の両親には
指導をお願いする連絡は
入っていませんでした。
3人の両親が今回のいじめについて
どう思っているのかは
裁判で明らかにされていませんが、
子供の起こした問題を
「知ることが出来なかった」と判断され
監護義務違反は認められませんでした。
「知ろうとしなかった」としても
「知ることが出来なかった」と
判断されたという事です。
ウラを返せば今回の様に
「いじめ」を真剣に認めようともせず
学校から連絡が無かっただけで
責任を免れてしまう可能性が
あると言う事です。
学校との話し合いや対応策を
考えるのであれば、
加害者側にいじめの事実を連絡する事は
必須条件になるのではないでしょうか。
「お金」の問題になってしまいますが、
連絡「した・しない」で
何百万の違いが出てしまうと言えば
実感が湧きやすいと思います。
いじめ裁判事例 総合失調症といじめの関連性を認めたケース まとめ
今回の内容は「いじめ 裁判」という
キーワードで、
平成14年に起きた広島県の中学校の
いじめ裁判を紹介しました。
この裁判で特徴的な事は
統合失調症といじめの関連性を認めた判例
と言うことです。
いじめによるストレスを
「統合失調症」の要因の一つとして認め、
いじめとの因果関係を認められたことは
非常に意義が大きい内容と言えます。
統合失調症は「不登校」との問題と
密接に繋がっていて、
不登校問題にも大きな影響を
与えている判例です。
この記事では、過去の裁判に関する
記事をリンクしながら
- 「いじめ」の内容
- 学校の対応
- 裁判でどう認定されたのか
に分けて詳しく内容をまとめています。
特に「裁判でどう認定されたのか」の部分では
学校の対応と保護者に求められる責任について
詳しくまとめさせて頂きました。
この判例だけに限らず
いじめの解決策を見つけて行くには、
過去の判例をひもとく必要があると
私は思います。
いじめで苦しんできた何人もの子供達の思いを
無駄にしないように、
大人がもっといじめに
真剣に向かい合う必要があります。
実際にいじめ問題で苦しんできた親として、
今回の記事を書かせてもらいました。
このほかにも「いじめ-ラボ」では、
我が子のいじめをベースに
記事を更新していますので、
良かったら読んで見てくださいね!
いじめの対処法 「分からない」「どうすれば」をメールで受付中!
この記事で書いている内容は
私たちの子が実際に受けたいじめを
ベースにまとめています。
さらにこの記事を読んでいる
あなたをはじめ、
今現在いじめで悩んでいる方々に
少しでもお役に立てれる様に
日々勉強をしています。
そこで今回は記事の紹介だけで無く
これからどうやって
この問題と向き合って行くか、
分からない事などについて、
私たち家族が経験した事を中心に
『「いじめ-ラボ」の相談コーナー』で
随時相談を受け付けております。
- 我が子にいじめが発覚して、これからどうして良いのか分からない
- 学校がキチンと対応してくれなくて不安だ...
- 子供の様子がいつもとおかしい
- 誰にも相談出来なくて、今の気持ちを聞いて欲しい!
など、具体的な内容について
相談を受け付けていますので、
私たち家族の経験が
少しでもお役に立てたら嬉しいです。
※「いじめ問題」について具体的な質問やお問い合わせを受付中!
長文になりましたが、
最後まで読んで頂き
本当にありがとうございました。
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