【いじめ裁判】真実は何処まで公開してくれるのか争われたケース

この記事を書いた人「はかせ」
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いつもご覧頂き本当にありがとうございます。
管理人の「はかせ」と申します。

今回は「いじめ 裁判」というキーワードで
平成8年に起きた

「福岡県城島町立城島中学校いじめ自殺事件」
について詳しくまとめた記事となっています。

なぜ実際にあった裁判の内容や
判決をまとめる必要があるのかと言うと、
いじめを裁判で争うときに

  • 「いじめ」の何が問題になっているのか
  • 事実の証明で「認められたもの」と「認められなかったもの」の違いは何か
  • 「学校の対応」で問題となっているものは何か
  • 実際にどれ位の期間が掛かるのか(事件の日と判決の日が書かれているから)

など、いろいろな情報を
知る事が出来るからです。
(私たちがなかなか知り得ない事)

いざ裁判をやろうと考えても
実際には大勢の人と時間とお金が
掛かってしまう
のは、

これを読んでいるあなたも
知っている通りだと思います。

さらに裁判で必要な証拠は
自ら集めなければならないので、

証拠として認められる内容は
どういったものなのかも
予め知る事も出来るでしょう。

判例は今後このような痛ましい事件を
起こさないようにする為の教訓という
意味合いの他に、

加害生徒側や学校の対応について
責任を問う為の方法や経緯についても
書かれています。

本当に「いじめで自殺する生徒を減らす」と
考えているのであれば、

単に痛ましい事件がありましたと
過去形にするだけで無く、

・「事なかれ主義」の今の学校で、加害生徒や学校への責任を問う為にはどうすれば良いのか

私たち自身が判例を見て
考えて行くべきだと私は考えています。

 

法律は知っている者のみを助け、
知らないままの者には手を差し伸べる事は無い

弁護士だけに任せっきりでは無く、
我が子の事は私たち親がしっかりと
守って行かなければならないと思います。

以上を踏まえてこの事件を簡単にまとめると
被害生徒であるAが中学校入学当時から

中学校3年生の卒業間近まで
執拗な「いじめ」に遭い、
最後には自殺してしまいます。

遺族は同年に民事訴訟を起こし
「学校側」を相手取り、
損害賠償を求め裁判を起こします。

 

今回、この記事ではタイトルにあるように、

いじめの真実は何処まで公開してくれるのか

をまとめていきたいと思います。

いじめを受けてしまった場合、

  • 「学校側が事実を認めてくれるのか」
  • 「真実を知りたい」

と被害者側が思う事は当然の事ですが、

ただ単に「受けた損害を請求する為」では無く

我が子がどんなに苦しんできたのか、
苦しんでいた事に気づけなかった事に対する
責任を果したい為に「真実」を明らかにしたい

と思うのです。

今回の裁判で明らかになった事を、

  1. 事件の内容
  2. 学校の対応
  3. 裁判内容

の3つに分けて、
「真実は何処まで公開してくれるのか」
まとめていきたいと思います。

※この裁判が行われた当時は、
まだ「いじめ防止対策推進法」は
制定されていません。

この記事に書いてある内容は
「1つのケース」と思って
ご覧頂けると幸いです。

 

※この他にもこのサイトでは
私たち家族が子供の被害を通して

感じた事や学んだ事をベースにまとめていて
記事形式にして紹介しています。

「いじめ」が他人ごとでは無く
明日は我が子に降りかかる問題であり、

風化させない為にも実体験を基に
記事にまとめています。

 

もし、我が子が不登校になって
どう守って行けば良いのか
分からなくなった時にも、

あわせて読んで頂ければ
お役に立てる内容となっています。

実際に裁判を起こしたり、
弁護士や行政書士の方のお話を聞いたりと

解決策に向けて取り組んできた事の内容を
書いていますので
是非1度読んでみてください。

※いじめ問題についてまとめたサイトはコチラ!!

いじめ-ラボ

 

事件の内容

今回起きてしまった事件の内容を
ここでまとめていきたいと思います。

被害生徒をA、
加害生徒を不特定多数のため
「加害生徒」として書いていきます。

【内容】

  1. 「蹴る」「殴る」などの暴力
  2. イスに画鋲を敷いて座らせる
  3. Aを侮辱する目的で「あだ名」を付け、呼ぶ
  4. 部活でAをのけ者にして、ボールをぶつけたり練習に参加させなかったりする
  5. 下級生からも侮辱され「いじめ」の標的になる
  6. 恐喝(カツアゲ)、現金約30万円

期間は先ほども書いた様に中学校入学当時から
3年生の卒業間近まで続き、

平成8年1月に自宅にて
自殺をしてしまいます。

小学校でAは元気で明るく
積極的な男の子であり、

中学校に上がる時に地方から
福岡に引っ越しをして
城島中学校に入学する事となりました。

この問題の発生のキッカケは
「訛り(なまり)」
最初はからかいから始まり、

段々とエスカレートして
自殺に追い込むまでの
凄惨な事件となっていきます。

そしてAは「遺書」を残しており、
その遺書には実名で加害生徒が挙げられていて

今回の問題の概要を詳しく説明する
「証拠」の代わりとなりました。

 

また、今回のいじめで特徴的なのは
【内容】で書いてある様に

下級生からもターゲットとして
いじめられた事
です。

いじめのケースの大半は同じクラスや
同じ学年で起きますが、

今回の下級生からも
ターゲットにされてしまった事に関して

「部活動」などの全学年が
一緒に行動する機会に

陰湿ないじめを受けていた事が
考えられるでしょう。

さらに部活動でのけ者にされている事からも
部活動でのいじめが陰湿で、

長期に渡って被害を受けていた事の
証明になっているのではないかと思われます。

※今回の様ないじめの形態について「中学校の時に見られるいじめの傾向」などをまとめた記事を載せていますので一度ご覧下さい。

中学生の我が子がいじめられた時、デキる親がやっている神対応とは

最近のいじめによく見られる「被害者の特徴」 解決が難しい訳とは

我が子のいじめから学んだ、いじめが起きやすい学校やクラスの解決策

では、ここでまとめた内容を元に
「学校の対応」はどうだったのかを
次の項目でまとめていきたいと思います。

 

学校の対応はどんなものだったのか!?

今回の自殺事件で学校側がとった対応は
どういうものだったのか、
詳しくまとめて行きたいと思います。

まず始めに、Aは中学校1年生の時から
加害生徒からより「蹴る・殴る」の暴力を受け

その都度先生に相談をしていましたが
ただの「じゃれ合い」としか受けてもらえず

対応も取られていないケースが
多かった事が判明しています。

Aが2年生の時には城島中学校は
「いじめ加配教員」として
何名か追加配属する事となります。

その新たに配属された教員がいても
親身になって対応はされなかった事が
裁判で判明しています。

Aが自殺した後に発見された遺書には
加害生徒の実名が載っていましたが、

学校側の対応は頑なに
「いじめに気づく事が出来なかった」と一言。

被害を受けていた生徒から
相談を受けていたのにも関わらず、

中学校入学当時から3年生の終わりまで
約2年半も学校側は

「いじめに気づく事が無かった」と
いう事になります。

※今回の学校の対応のように「対応の不備や不満」についてまとめた記事を載せていますので一度読んでみてください。

「いじめはない!」と言われたらまずは確認!!弁護士が教師になって分かった学校の裏側について

次に、「事件の真実」を遺族側が学校に
「情報の開示」を請求した事について
見ていきたいと思います。

自殺があった後、全校集会で自殺があった事と
2、3年生に対して感想文を書かせたり、

遺書に書かれていた主犯格と見られる
生徒に対しては

別個に事情聴取をしている事が
明らかとなります。

ただ、遺族側に開示された内容は
「一部分のみ」となり、

本当に知りたい情報は
知る事は出来ませんでした。

生徒に与える精神的影響や、
時期が1月で「高校受験の準備」と重なり

時間的な余裕をとる事が出来なかった事が
「一部開示」にした理由とされています。

さらに、学校と警察とのやり取りでは

  1. 被害生徒からの相談については具体的な内容を知っていたのにも関わらず、曖昧に発言
  2. 教育委員会に提出する報告書についても「いじめの事実」について、掴みきれなかった(ほとんど対応する事をしなかったのにも関わらず)と報告し責任の所在を誤魔化す

といったように、
学校側の対応には非がない様にする為
事実とは違う供述をしている事

裁判で明らかになっています。

 

以上、どのような対応を取られていたのか
まとめると、

  1. Aが先生に相談しても、対応はキチンとされない
  2. 自殺後に遺族に情報開示を求められるが、一部開示に留まる
  3. 警察での事情聴取の際には、「自分たちには非が無い」事とする為にウソの供述をしていた

大きく分けると3つの事が
裁判で明らかになっています。

いじめ問題の対策として
「加配教員」まで配属しているのに
「ただのじゃれ合い」としか見てくれず、

相談にもあまり親身になって
乗ってもらえないまま
Aは自殺をしてしまいます。

警察の取り調べでも
「保身」に走る学校の対応は

「今の学校」の象徴となる
対応のようですね。

 

では最後に、裁判ではどのように
判断されたのかを

前述の「事件の内容」と
「学校側の対応」を踏まえて
詳しく見ていきます。

 

裁判でどのように認められたのか!?

今回の「自殺事件」を裁判で争う時に
ポイントとなったことは、

  1. 「いじめ」があったのかと「自殺」の間に因果関係が認められるのか
  2. 「自殺」を「予見する事は出来たのか」(予見可能性)
  3. 学校に「調査報告義務違反」は認められるのか

の3つが裁判で争点となりました。

城島中学校に「いじめ」があったと認められ
「自殺」との因果関係が認められれば

学校側の「安全配慮義務違反」が
認められる事となります。

また、「Aが自殺する事」について
予見する事が出来たのならば

Aが自殺して失ったものまで
学校側で償う事になります。

そして情報を一部しか
開示しなかった事について

「調査報告義務違反」が認められれば
遺族側の願いである
「真実を知る事」に繋がります。

そして今回の裁判でどうなったのか!?
詳しく見ていきたいと思います。

「いじめ」があったのか、「自殺」の間に因果関係が認められるのか

今回の裁判では

  1. 遺書や調査報告書
  2. 警察での聴取との矛盾、
  3. 2、3年生の感想文

がAに対する暴力を
証明する事になりました。

冒頭の「事件の内容」に書いてる内容が
約2年半継続して行われていたと認められ

学校側の対応の不備を
証明する形となりました。

それと合せて「Aが自殺してしまった事」も
学校側の対応の不備の為に起こったとして
因果関係を認めています。

これにより、学校の「安全配慮義務違反」が
裁判で認められる事となりました。

安全配慮義務違反が認められたと言う事は
学校に責任を認めてもらう上で
一番大事な事
でもありますから

認められた事は非常に有意義な事です。

「自殺」を「予見する事」は出来たのか(予見可能性)

今回の場合、一番難しかったポイントが
この「自殺の予見可能性」
証明する事です。

結果から言うと今回の事件では
「予見可能性」は認められませんでした。

いじめと自殺の因果関係を認めるけれど
「いじめを予見する事」については

否定する内容は一見矛盾している様に
感じますが、

裁判では責任の所在を明らかにする為に
細かく分ける事があります。

簡単に言えば交通事故で
相手にケガをさせてしまった事については
賠償する責任が認められるけれど、

  • 交通ルールを破って(信号無視など)事故が起きたのか
  • 不可抗力(雪道で氷の塊を践んでスピンしてしまったなど)で相手にケガをさせてしまった

では認められる損害賠償の金額について
差が出てくるのと大体同じ考えです。

今回認められなかった理由として
挙あげられるのは、

  1. Aが学校を休んだり、遅刻したり、早退したり等が見受けられない事
  2. 高校進学について意欲的だった事
  3. Aが自殺するまで、「異変」に気づく事が家族でも出来なかった事

以上3つ。

Aは中学校を終えて
高校に進学してそこからやり直そうと
努力している事が調書で判明し、

その事が逆に家族には「Aの差し迫った心」を
読み取ることが出来なかった原因に
なってしまうという結果になってしまいます。

被害生徒の心境をどう読み取っていくのか、
またはどう接していくのかを
考えさせられる内容となってしまいました。

学校に「調査報告義務違反」は認められるのか

今回の記事のタイトルに掛かる
内容になりますが、

この「調査報告義務違反」が認められるのかは
今後の対策で最も注目が集まる内容です。

実際に「調査報告義務違反」について
争われたポイントとして

  • 「学校」は調査機関ではなく教育機関である事
  • 被害生徒だけで無く、在校生の影響も考えなければならない
  • 調査する「時間」の制限は無いのか

が挙げられます。

まず学校の立ち位置は警察みたいな
「調査機関」ではなく、

あくまでも「教育機関」としての
立ち位置を明らかにしています。

調査した内容の「正確さ」や
「信憑性」について、

少し曖昧さがあったとしても
それだけで違反となる事は無いとしています。

 

また、「学校の対応」の項目で説明した
在校生徒への影響や受験の準備などで
時間が足らなかった事についても

一定の制約があるとしています。

実際の裁判での内容ではこう言われています。

もっとも,公立中学校は捜査機関ではなく教育機関であるから,教師ら
及び教育委員会としては,教育機関として必要かつ可能な方法において調
査を実施すれば足りるし,また公立中学校は,教育機関として,常に当該
生徒のみならず,他の生徒らに対する関係でも,全人格的な教育を全う
し,その健全な成長を図り,教師らと生徒らの間の相互信頼関係を維持育
成することが要請されており,他の生徒らのプライバシーも尊重し,規律
ある学校運営を維持する必要があり,同時に当該事故等について,司法の
見地から捜査権限を有する警察や検察庁が現に捜査を開始し,あるいは捜
査をする予定がある場合には,その障害となるようなことは慎むべきであ
るという一般的な制約があるから,その調査内容あるいは調査結果につい
ても,このような範囲内において,報告すれば足りるというべきである。

以上の事から、
学校に対する責任を分析すると...

  1. いじめの有無と自殺との間に因果関係は認められる
  2. Aが自殺した事についての「予見可能性」は認められない
  3. 学校の調査報告義務は必要範囲で事足りる

となり、いじめによる損害・自殺については
学校側に責任を認める形になりましたが

キチンと調査報告しなかった事については
責任を否定しています。

特に学校の「調査報告義務」については、
在校生の影響を考えると

「真実の全て」を知る事は非常に難しくなると
いわざるを得ません。

在校生から証言を求めることや
それを行う時間なども
制約を受けることがありますので、

学校が正確に「真実」を
公表する事は正直厳しいでしょう。

限られた事実から子供の受けた問題を
明らかに出来るのかが問題となり、

1人で解明していく事は
難しくなるでしょう...。

限られた時間と証拠からいじめの事実を
明らかにしていくのであれば、

  1. いじめが何故起きたのか
  2. いつから続いてきたのか
  3. 誰がやったのか
  4. 何処で行われたのか
  5. 内容はどんなものなのか

学校の責任に繋がる内容を
効率良く集める必要があるでしょう。
(安全配慮義務についてなど)

例え全ての事実が
公開されなかったとしても、

学校の責任を認める事が出来る
証拠を集める事が出来れば

「学校の責任」について
問う事が出来ると思います。

最終的に一審の判決を変更し
(原審の内容が不明な為詳細は分かりません)

いじめの被害で主犯と思われる加害生徒と
福岡県に対し、

約4700万円の損害賠償請求
認める内容となりました。

 

【いじめ裁判】真実は何処まで公開してくれるのか争われたケース まとめ

以上、今回紹介した内容は
福岡県城島町立城島中学校で起きた
自殺事件でした。

今回のケースは平成8年に起きた
いじめ自殺事件になりますので
いじめ防止対策推進法が制定されていません。

なので実際には変更になる内容も
あるかも知れませんのでご了承ください。

この自殺事件の裁判で争われた内容は、

  • 「いじめ」があったのかと「自殺」の間に因果関係が認められるのか
  • 「自殺」を「予見する事は出来たのか」(予見可能性)
  • 学校に「調査報告義務違反」は認められるのか

となり、実際に裁判で
どのように認められたのかを
詳しく書いていきました。

今回の記事のタイトルにもなっている、
『真実は何処まで公開してくれるのか』
については、

結論から言うと
「全部の公開は非常に難しい」
という結果になりました。

「時間」や「他の生徒の状況」
「警察の対応」など様々な制約が出て

「全部の情報」を公開することは
非常に難しくなります。

今回の裁判でも時期的な制約(受験の準備)や
在校生の精神的な影響を考慮した上で、

問題に対する調査報告義務については
「ある程度の範囲で調査すれば事足りる」
としています。

もし、子供が受けたいじめの内容を
詳しく知りたいのであれば、

日頃から学校との話し合いで
子供の学校生活の状況を知っておく事

これから必要になってくるハズです。

子供のこれからを見守っていく為に
学校と裁判で争うのではなく

情報を可能な限り共有していく事が
大事になってくるのではないかと
私は思います。

また、「いじめ-ラボ」では
我が子のいじめを元に
記事を更新しています。

実際に我が子にいじめが発覚した時の
学校との対応や我が子との接し方など
参考にして頂ければ幸いです。

 

いじめの対処法 「分からない」「どうすれば」をメールで受付中!

この記事で書いている内容は
私たちの子が実際に受けたいじめを
ベースにまとめています。

さらにこの記事を読んでいる
あなたをはじめ、

今現在いじめで悩んでいる方々に
少しでもお役に立てれる様に
日々勉強をしています。

そこで今回は記事の紹介だけで無く
これからどうやって
この問題と向き合って行くか、

分からない事などについて、
私たち家族が経験した事を中心に

「いじめ-ラボ」の相談コーナー
随時相談を受け付けております。

  • 我が子にいじめが発覚して、これからどうして良いのか分からない
  • 学校がキチンと対応してくれなくて不安だ...
  • 子供の様子がいつもとおかしい
  • 誰にも相談出来なくて、今の気持ちを聞いて欲しい!

など、具体的な内容について
相談を受け付けていますので、

私たち家族の経験が
少しでもお役に立てたら嬉しいです。

※「いじめ問題」について具体的な質問やお問い合わせを受付中!

我が家の「いじめ解決までの2年半」を凝縮した「いじめ-ラボ相談ページ」

長文になりましたが、
最後まで読んで頂き
本当にありがとうございました。

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