こんにちは!
いじめ-ラボ管理人の「はかせ」と申します。
最近のニュースでは「いじめ」に関する報道があまりされておらず、このサイトを見ている方以外でこの問題に関心を寄せている人はあまりいないのかも知れません。
この問題の弱点というか難問は「1度問題が起きて話題になったとしても一時的なものに過ぎない事」が挙げられます。
どんなに悲惨な問題がおきてもどれだけ子供が自殺しようとも一時的にしかメディアは報道してくれません。
最近テレビでみた「いじめ」に関する内容だと私が住んでいる宮城県のいじめ自殺事件で控訴審が行われる内容がありました。
事件があったのは4年前で詳しくは『痴漢冤罪事件と宮城県で起きたいじめ自殺事件でわかった共通点』でまとめていますので1度読んで見て下さい。
今回の記事で紹介する事件は1998年に起きた埼玉県東松山市東中学校で起きた「同級生刺殺事件」の内容になります。
当時13歳だった被害者は同じ学年の生徒に報復としてナイフで刺されてしまいます。
前回の記事『小学生が友達を包丁でメッタ刺し 福岡県のいじめ報復事件の内容』と同じ様にまだ小学生だったり中学生になりたての生徒が凶器を持って相手に復讐してしまいますが、当時の犯行に至るまでの内容に触れながら、
・刺した生徒が日頃受けていたいじめの内容
・当時の中学校の対応
・いじめ問題に共通するポイント
を簡単にまとめて行きたいと思います。
最近の傾向として「いじめ」に対する報復事件は徐々に減少してきていますが、被害に遭われた生徒は一生「心の傷」として残ってしまうケースが非常に多いです。
万が一我が子が被害に遭ってしまった時に備えて、我が子が被害に遭った内容にも触れていきながら全体をまとめて行きます。
※この他にもこのサイトでは私たち家族が子供の被害を通して感じた事や学んだ事をベースにまとめていて、記事形式にして紹介しています。
「いじめ」が他人ごとでは無く明日は我が子に降りかかる問題であり、風化させない為にも実体験を基に記事にまとめています。
もし、我が子が不登校になってどう守って行けば良いのか分からなくなった時にも、あわせて読んで頂ければお役に立てる内容となっています。
実際に裁判を起こしたり、弁護士や行政書士の方のお話を聞いたりと解決策に向けて取り組んできた事の内容を書いていますので是非1度読んでみてください!!
刺した生徒が受けていたいじめの内容
今回の事件で「加害者」となった生徒(いじめられていた側)が日頃受けていた被害の内容についてまとめて行きたいと思います。
犯行後の事情聴取で証言している内容は、
・机を蹴られる
・集団から「仲間はずれ」にされる類のいじめ
といった「相手を威嚇する」や「仲間はずれ」といったような行為が年末辺り(事件発生は3月上旬)から続いていた事が判明しています。
もともと刺した生徒と刺された生徒は小学校からの友達で、当時刺した生徒は「明るい生徒」と言われており、特に人間関係を保つ事が苦手な生徒ではなかったようです。
しかし中学校の中頃から刺した生徒の様子に変化があり、すれ違いざまに
・肩と肩をぶつけてくる
・にらみつける
・暴力
・悪口
といった行為を繰り返し、相手との関係が小学校の頃に比べると真逆の方向に向かっていった様です。
そして今回の事件が起きる頃には不良グループの中に入っていた様で、万引きや他の生徒に暴力を振るう時が多くなった事が分かっています。
ある時に他の生徒とのケンカで負けてしまった事により「力関係」が逆転し、仲間からも阻害されドンドン1人でいる様になり最後にはいじめられる事が多くなったそうです。
そして小学校時代に仲が良かったハズの「今回の事件の被害者」である生徒とまでいざこざが起る様になり、今回の事件が起ってしまったと言う流れになります。
今回のケースと同じ様に元々「いじめられていた生徒」が逆転して「いじめる側」になったりその逆になったりする事はよくある事で、もしかすると今回の記事を読んで頂いている方のお子様でもこのケースに当てはまってしまう子がいるのかも知れません。
この事件で相手を刺してしまった生徒は元々元気な明るい子とされていますが、中学校で不良グループに入ってしまう理由は何だったのでしょうか??
思春期だったり個人的な悩みそして家族との関係などが考えられますが、「相手を刃物で刺す」といった殺意までは考えたとしても行動に移すには余程の理由が無いと出来ないと思います。
この生徒の殺意を何処かで止める事は出来なかったのでしょうか...。
関連して当時の東中学校の対応について考えて行きたいと思います。
当時の東中学校の対応
今回の殺人事件を振り返って、中学校側の対応に不備が無かったのかを考えて行きたいと思います。
当時の東中学校の証言では今回の事件に関連する当事者同士の「いじめ」について、
・いじめがあったとは気が付かなかった
・(当事者同士がもめているように見えても)じゃれ合っているように見えた
・アンケートを取って見たけれど問題があるように見えなかった
と発言している事が分かっています。
学校は今回の事件で使われていた凶器(ナイフ)についても「特に見当たらなかった」としており、「いじめはなかった」という姿勢を崩す事はありませんでした。
他の生徒から凶器(ナイフ)について指摘や注意を促されても特に対策を取っていなかった事も併せて判明しています。
その後の対応(刺された生徒が死亡した後)も特に目立った対応は無く、そのまま「無かった事」にされてしまった可能性が高いでしょう。
この事件について調べようとネットを始め各社新聞記事を調べても、掲載されているものがほとんど無く今回参考にさせて頂いた『私の雑記帳』さんの記事以外にはありませんでした。
月日が経ってしまっている事が理由として考えられますが、当時中学校1年生が同級生に刃物で刺され死亡してしまった事件にしてはあまりにも杜撰な対応や問題意識の欠如と言わざるを得ないでしょう。
この事件が起きたのは1998年で、この事件以外にも多くの生徒が対人関係で悩んでいたり「いじめ」を苦に自殺してしまったケースはいっぱいあったハズです。
将来これからの生徒が自殺を選んでしまった「理由」を深く考えない限り、この問題はこれからも続くであろうし「いじめ自殺」も無くなる事は無いでしょう...。
学校の対応や大人達の杜撰な対応を簡単に書いてきましたが、次の段落では視点をちょっと変えてこの事件と今まで起った事件との共通点について考えて行きたいと思います。
実際に我が子が被害に遭った時に初めて「事の重大さ」に気が付いてしまうのですが、予め小学校や中学校そして高校などで起きている「現状」を知っておくといざという時に役に立つハズです。
今回の事件と他の事件との共通点
今回の同級生刺殺事件と今までに起った他の事件との共通点についてここではまとめて行きたいと思います。
先ほども少しだけ書かせて頂きましたが小学校から中学校や高校などで起きてしまう「いじめ」については「ある共通点」がある事が分かっています。
それは『立場は常に入れ替わる』と言う事です。
今回の事件の例が最たる例で、最初が「加害生徒側」だったとしてもあるキッカケで「被害生徒側」にコロッと変わってしまうし、その逆も起ります。
このサイトでも『最近のいじめによく見られる「被害者の特徴」 解決が難しい訳とは』という題名で「被害者と加害者の立場の流動性」についてまとめています。
この記事では文部科学省が発表した『いじめ追跡調査』を基に書いていますが、簡単に中身を要約すると先ほど書いた「被害生徒と加害生徒の立場の流動性」をグラフで表している内容になっています。
調査の対象となった学年の約7割が過去に「いじめられた経験がある」と述べており、今までいじめとは無縁だった生徒でも被害に遭う危険性を示した結果となりました。
ここで気を付けて欲しい事は、どんな生徒でも被害にあう危険性があると言う事はウラを返せば「いじめられていた」としても「加害生徒になる危険性」を含んでいるという事。
私たち大人の視点で「いじめは悪い事」として唱えても、クラスの中では「大義名分」が成立してしまっている可能性があるのです。
簡単に言えば「いじめてたんだからやられても仕方無い」となり、誰も助けてくれない可能性が出てくるでしょう。
この状況になってしまえばただ単に「いじめられているケース」よりも解決は難しくなります。
誰の協力も得られないだけで無く、行為そのものに歯止めが掛けられないからです。
この事件を振り返って
今回の事件を振り返って言える事は先ほど書いた通り「誰でも被害に遭う可能性はある」と言う事と「誰でも加害者になり得る」と言う事です。
被害者だけにフォーカスが当てられますが、本当に「いじめ」について考えるのであれば「加害者」にも同じくらいフォーカスを当てなければならないでしょう。
ここの文章を書く上で、私の子が実際に被害に遭った時の話を書いていきたいと思います。
私たちは我が子の被害を受けて裁判をしてきましたが、結構長い時間を費やす事になり弁護士や行政書士の方と話し合いをしたり学校との話し合いをしたりと約2年近くあっという間でした。
その時の弁護士や行政書士の方との話し合いで分かった事があります。
それは、加害者家族の言い分で「私たちも被害者の1人だ」と口を揃えて言っている事です。
実は、この言葉の意味は2つあって(最近そう思うようになりました)
・加害生徒自身が被害生徒にいじめられてた経験があるからその仕返しをしただけ
・なぜこれくらいの事でいちいち謝罪などしなきゃいけないのか、責められないといけないのか、時間とお金を取られたからウチが被害者である
という意味の2つです。
後者の意見であれば最早救いようが無いか親の考えが「かわいそう」になるだけですが、前者の意見であればそもそも被害に遭った我が子にも顧みる所がある事なります。
私たちのケースでは後者の意見に当てはまり、怒りを通りこして「そんな親に育てられてかわいそう」と思うようになりました。
もっと問題意識をもって考えれば「やって良い事」「いけない事」の判別はキチンと付くハズですよね。
ここで言いたい事は、仮に仕返しだったとしても「いじめはやってはいけない事」であり許される事では無いと言う事を大人も含めて再確認していかなければならないと言う事です。
復讐を復讐で返してもその後には何も残りません。
では復讐よりも優先してやらなければならない事は何なのか!?
それは「事実を風化させない事」だと私は考えています。
仮に復讐したとしても元の時間は戻ってきません。
いじめの被害を受けると傷が癒えるまでかなりの時間を要しますし、もしかしたら一生物の傷になるかも知れません。
しかし、復讐で相手に同じ傷を与えてしまえば「された事」と同じ事をしてしまう事になるでしょう。
頭で分かってはいても「心」で許せない気持ちは私たち家族は痛い程よく分かります...。
今はこんな気持ちになってしまう事を「風化」させない事が大事なのではと考えています。
「いじめ」は何も産まないし、やるだけ虚しいだけだと言う事を知ってもらう為に。
もう2度とこんな思いをして欲しくない、したくないから。
まとめ
今回の記事は1998年に起きた埼玉県東松山市東中学校で起きた同級生刺殺事件の内容を紹介した記事でした。
この事件では相手を刺した生徒は前にいじめをした事があり、あるキッカケで自分がいじめられる立場になってしまい仕返しに相手を刺してしまう事件です。
この記事では、
・事件の内容
・当時の中学校の対応
・この問題に潜む共通点
をまとめながら、私たち家族の実体験を踏まえた対策についてもまとめさせて頂いています。
いじめがニュースを始め多くのメディアで報道されてから何十年の月日が経っていますが、未だこの問題の終わりは見えてきません。
むしろ、被害が拡大してきている傾向すらあるのかも知れません...。
過去に起きた痛ましい事件を無駄にしては行けませんし、これから我が子の将来を考えて行く時にこの問題は外す事が出来ないでしょう。
単純な問題では無く「被害者」と「加害者」の両方にフォーカスを向けた対応を考えて行かなければまだまだ解決まではほど遠いのかもしれませんね。
今私たちが出来る事として「問題を風化させない事」が最優先で、常に問題意識を持って学校との話し合いに望む必要があるでしょう。
このサイトでは「我が子が受けたいじめ」をはじめ過去の判例なども調べつつ学んだ事をベースに被害に遭われたご家族の相談を受け付ける「相談コーナー」を実施しています。
我が子が被害を受けてどう対応して良いのか途方に暮れているのであれば1度お話を聞かせてもらえませんか!?
いじめが起きてから裁判で勝つまでの経験を元に相談コーナーを実施中!!
この記事で書いた事や「いじめ-ラボ」でまとめている内容は私たちの子が実際に受けたいじめをベースにまとめています。
さらにこの記事を読んでいるあなたをはじめ、今現在いじめで悩んでいる方々に少しでもお役に立てれる様に日々勉強をしています。
そこで今回このサイトでは記事の紹介だけで無く「これからどうやってこの問題と向き合って行くか、分からない事」などについて随時相談を受け付けております。
- 我が子にいじめが発覚して、これからどうして良いのか分からない
- 学校がキチンと対応してくれなくて不安だ...
- 子供の様子がいつもとおかしい
- 誰にも相談出来なくて、今の気持ちを聞いて欲しい!
など、私たちの経験を基に記事に書いていない事なども答えられる範囲でお答えします!!
※質問やお問い合わせはコチラ!
『【完全無料】いじめ発生から裁判で勝つまでの「2年半」を凝縮した「いじめ-ラボ」相談ページ』
長文になりましたが、最後まで読んで頂き本当にありがとうございました。
※参考文献 一覧
・日本の子どもたち 子どもに関する事件・事故
・いじめの構造 内藤朝雄 講談社現代新書
・思春期の危機をどう見るか 尾木直樹 岩波新書
・尾木ママの「脱いじめ」論 PHP文庫
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