【いじめ裁判】いじめで重度の障害を負った場合の学校の責任は?

この記事を書いた人「はかせ」
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いつもご覧頂き本当にありがとうございます。
管理人の「はかせ」と申します。

今回は「いじめ 裁判」というキーワードで
「実際にあった裁判の事例」を元に

どんな事が問われているのかを
まとめていきたいと思います。

過去の裁判の事例を読む事で、

  • 「法廷では何が必要なのか?」
  • 「学校との対応で大事な事は何なのか?」
  • 「いじめに遭った時に何が問題とされているのか」
  • 「学校や加害生徒達が負うとされる責任とは何なのか」
  • 「裁判にはどれ位の期間が掛かるのか」

以上の項目を知ることが出来れば、
実際に我が子にこの問題が起きた時でも
冷静に対応が出来る様になります。

※裁判にどれ位の期間が掛かるのかについてまとめた記事を載せていますので、一度読んでみてください!

いじめが起きてから裁判が終結するまでどれ位掛かるのかまとめてみた

これを書いている私「はかせ」も
子供にいじめが起きて裁判を起こして
その経験を元にこの記事をまとめています。

今回紹介する内容は平成11年に起きた

山梨県南アルプス市の小学校4年生に対する
いじめについての裁判

になります。

被害者である生徒がもう1人の生徒に
ちょっかいをかけられ、

左目に重度の障害を負ってしまった
というケースになります。

この内容を、

  1. 事件の内容はどうだったのか
  2. 学校の対応はどうだったのか
  3. 裁判でどう判断されたのか

の3つに分けて詳しく掘り下げて
まとめていきたいと思います!

※この他にもこのサイトでは
私たち家族が子供の被害を通して

感じた事や学んだ事をベースにまとめていて
記事形式にして紹介しています。

「いじめ」が他人ごとでは無く
明日は我が子に降りかかる問題であり、

風化させない為にも実体験を基に
記事にまとめています。

 

もし、我が子が不登校になって
どう守って行けば良いのか
分からなくなった時にも、

あわせて読んで頂ければ
お役に立てる内容となっています。

実際に裁判を起こしたり、
弁護士や行政書士の方のお話を聞いたりと

解決策に向けて取り組んできた事の内容を
書いていますので
是非1度読んでみてください。

※いじめ問題についてまとめたサイトはコチラ!!

いじめ-ラボ

 

事件の内容はどんな感じ!?

今回の事件の内容は小学校4年生のA君と
そのクラスメイトB君の間に起きた事件で
被害生徒はA、加害生徒はBとなります。

学校の授業が終わってクラスで
「帰りの会(SHR)」を行っている最中に
BがAに向かって鉛筆を投げてしまいます。

投げた鉛筆が運悪くAの左目に刺さってしまい
左目の視力がほとんど無くなってしまいます。

今回のいじめ(事故)で
確認しなければならない事として、

  • AとBとの関係性
  • 普段のBの性格

この2点がまず挙げられます。

学校と保護者のそれぞれの責任についても
気になる所ですが、

まず責任の所在を明らかにする上で
当事者同士の関係性を調べる事が肝心。

今回の判決で明らかとなった事柄について
まとめて行きたいと思います。

AとBの関係はどんな感じ!?

Aは4年生の1学期には
(事件は3学期に起きた)

Bの家に泊まりに行くくらいの
仲良しだったそうです。

家に泊まりに行くくらいなので、
Bの親との交流も親しく行われていたとも
考えられるでしょう。

しかし、2学期に入ってから
AとBの友達関係が悪くなってしまいます。

裁判の内容では亀裂が生じた原因は
詳しくまとめてはいませんが、

審議の内容から2学期からお互いの関係が
上手く行かなくなったと書いてありました。

BがAに対してちょっかいをかけても
Aは反抗する訳でもなく、

それに苛ついてBがさらにキツくAに当たると
担任の先生が間に入って
止めに入る時もしばしばあったそうです。

Aの被害を受けてAの保護者は
担任の先生と面談を行い

Bの素行に対応してもらう事と併せて
Bの保護者に連絡を入れて指導してもらう様に

お願いしていた事が裁判の供述で
明らかになっています。

Bの性格はどんな感じ!?

Bの性格は基本的に明るく
前向きな性格である

Bを受け持ったことがある
先生達は言っています。

しかし、もう一方では

  • 感情的になりやすく、気持ちの起伏が激しい
  • すぐに手を出す
  • 他の友達の筆記用具をいたずらで壊す
  • ものを相手に向かって投げる

という事もたまに見受けられる時が
あったと判明しており、

その都度担任の先生が指導したり
Bの保護者に連絡をいれて
保護者からの指導を依頼していたそうです。

今回の左目失明事件のちょっと前の2月にも
BはAに雪合戦で雪玉を顔面に投げつけ、
Aの頬にケガをさせた事も判明しました。

 

以上、今回の事件を語る上で必要な
「AとBの関係性」について

裁判で明らかになっている事を
まとめてきましたが、

  1. 2学期から2人の関係性が悪くなったこと
  2. どちらかというとAの方がBから遠ざかっていた事
  3. 時折、Bは相手に危害を与える様な行動をする事

が裁判で分かっていて、
急に素っ気なくなったAに対して

振り向いて欲しいから
ちょっかいを掛けていたが
徐々にエスカレートして

先生が止めに入る位の問題に
発展していったと考えられます。

仲が悪くなった原因として考えられる事は、

  1. 2学期が始まってから仲が疎遠になっているので夏休み前に「疎遠になるキッカケ」があった
  2. 以前からイライラしやすいBの行動に我慢が出来なくなった
  3. 他の友達から「Bに対する悪い評判」を聞き、離れようと思った

以上の事が考えられる原因として
挙げられるでしょう。

もし出来る事なら、
AとBの間に入って止めた時に
2人の話を聞く機会を設ける事が出来てれば

ここまで関係が悪化する事は
無かったのかなと個人的には思います。

BもAとの関係性を維持したり
良好なものにしていきたいと
思っていたのであれば、

違った関わり方(気の引き方)が
出来なかったのかなとも感じてしまいます。

どうしても最近の学校と
保護者の話し合いをみても感じるのですが、

今回のAとBの関係性(仲のこじれ具合)が
「学校と保護者の関係」を
象徴している様な気がしてなりません。

 

Aからしてみれば
「なんでこういう事するのか」と
疑問に思っているだろうし、

Bからしてみれば
今まで仲良くしてくれたのに
どうして構ってくれないのかと、

お互いがお互いに対して
疑心暗鬼になっている事が
分かると思います。

子供同士の関わり方までは
裁判では裁くことは出来ませんし、

学校も対応するにしても
限界があります。

 

今回の件に関して明らかに
Bが悪くなると思いますが、

AにしてもBに対して
「何が不満なのか」を伝える事も
必要なのではと私は考えています。

 

学校側の対応は!?不備は無かったのか!?

今回の事件が起きた時、
学校側(主に担任)の対応はどうだったのか
まとめていきたいと思います。

今回の事件が起きた帰りの会(SHR)では、
担任の先生は各生徒に裁縫道具を渡していて

Aの左目に鉛筆が刺さる所を
見る事は出来ませんでした。

実際に事故が起きる所を
先生は確認する事が出来なかったので、
「不慮の事故」と思われるこの事件には

「隠れた学校側の不備」があった事が
裁判で明らかになっています。

では、この「隠れた学校側の不備」について
詳しくまとめて行きたいと思います。

※今回の様な「学校の対応」の不備や不満についての対応策をまとめた記事を載せていますので一度読んでみてください。

「いじめはない!」と言われたらまずは確認!!弁護士が教師になって分かった学校の裏側について

①担任の先生の指示でAとBの席が近くなる

事件が起きた3月2日は、Aのクラスで
「インフルエンザ」に掛かっている生徒が多く
39人いたクラスの内9人が休んでいました。

事件当時Aが座っていた席は
前から2番目(大体中央近く)に位置していて

BはAの席から一つ席を挟んで
左前に位置していました。

帰りの会の時Bは落ち着きが無く
何回か担任の先生から注意を受けていて、

席を移してあげる代わりに落ち着く様に
担任から指示を受けていました。

そこで担任の先生は
Aの席の隣が欠席で空いていたので、
Bをそこに座らせてしまいます。

担任の先生は、

  1. Bがたびたび他の生徒と問題を起こす事
  2. AとBの仲に亀裂が生じていた事
  3. Aの保護者から「AがBにいじめられていないか」と相談を受けていた事

以上3つの事実を知っていたのにも関わらず
BをAの席の隣にしてしまいました。

担任の先生が仲裁に入る事が度々あった状態で
席を隣にしてしまう行為は、

仮に「Aの保護者」から
いじめを受けているのではと
相談が無かったとしても

普通であればしないと思います。

さらに「Aの隣しか空いていない」訳ではなく
(クラスで9人休んでいた事が判明)

他に空いている席があったのであれば
他の席でも構わなかった訳ですから、

「Aの隣に座らせた事」についても過失があると
判断される可能性が出てくるでしょう。

②Aの保護者から「Bの保護者」に連絡するように言われていたが...

話をちょっとだけ前に戻しますが、
担任はAの保護者から

「Bにいじめられているかもしれない」と
相談を受けていた時がありました。

その時にAの保護者から
「Bの保護者に連絡を入れて欲しい」
と頼まれていたのですが、

中々連絡が取れずそのまま連絡をせず
事件当日まで過ぎてしまう事が判明しました。

いじめが発覚しても
相手の保護者に連絡をいれて
指導を依頼しないと、

いつまで経ってもいじめに対する指導が
されないので解決出来ません。

ただ、今回の場合「Aに対する行為」の他に
問題行動を起こしたとして

事前にBの保護者に連絡を入れている事が
明らかとなっていますので

「指導をお願いした事」については
信憑性が高いでしょう。

 

以上「事件の内容」と「学校側の対応」を
まとめてきました。

いよいよ次は今回の事件が裁判では
どの様に判断されてきたのかを
まとめていきたいと思います。

 

裁判ではどう判断されたのか!?

ここでは「事件の内容」と
「学校の対応」を踏まえて、

裁判ではどう判断されたのかを
まとめていきたいと思います。

この裁判で争点となったポイントは

  1. 学校側の対応は「安全配慮義務違反」になるのか
  2. もし学校側が「安全配慮義務」を負っているのであれば、保護者側の「監護義務違反」は問われないのか

の2つになります。

また当該加害生徒は
直接的な責任を負うのかどうかも
ポイントになりますが、

一般的には「責任能力」が認められる年齢は
大体小学校6年生くらいとされています。
(11~12歳程度)

今回の事件だと小学校4年生なので
原則生徒自身には「責任」は認められず、
その保護者が責任を負う事になります。

①学校側の対応は「安全配慮義務違反」になるのか!?

今回の裁判で学校側の対応は
どの様に見ているのでしょうか??

結論から言うと「安全配慮義務違反」が
認められるとしています。

その理由を裁判では、

  1. 前任の先生から「Bが問題を起こす事」について引き継ぎを受けている
  2. 今回の事件以前でも担任自らBに対して指導している
  3. Aの保護者から「Bからいじめを受けているかも知れない」と相談を受けている
  4. Bの保護者に連絡を入れていない(Aの保護者から相談受けた時)

以上3つの理由を挙げています。

そして事件当日の帰りの会で
Bが落ち着く代わりに
席を移してあげる事について、

AとBの関係に何らかの問題があった事は
知っていたのだから、

隣の席にした事について
担任(学校側)の過失が認められる

としています。

そして裁判では併せて
この様に述べています。

「帰りの会」は,担任教諭が,児童らの面前で連絡事項を行うなどの形態で行われているものであるが,通常授業と比べて,児童が解放的な気分になりやすい状況であるともいえることから,担任教諭には,児童らの動静について,正規授業と同程度かそれ以上に安全に配慮すべき注意義務が要求されていたものと解するのが相当である。

ある程度Bがよく問題や衝突を起こす生徒と
知っていたのだから、

担任の先生の指導や対応方法も
他にやり方があったと言う事になります。

前述した様に、
お互いに何らかの問題があると
連絡を受けていたので

極力隣同士にはしない方が
良かったと思います。(結果論ですが)

Bが鉛筆を投げてAに怪我を負わせる事までは
予測出来ないかもしれませんが、

何かしら問題が「起きるかも知れない」という
「予見性」が問われた判例
と言う事になります。

②加害生徒の保護者への「責任」は問われるのか!?

今回の事件で、加害生徒側の保護者に
「責任」が問われるかが裁判で争われました。

結論は「責任」が問われる事になります。

前述の「Bの性格はどんな感じ!?」で
説明したとおり、

他の生徒と何度か問題を起こしていて
その都度学校から保護者に
連絡を入れている事が判明しています。

学校から連絡を受けた時点で
保護者側が自分の子供に注意や
指導をしていかないと

「責任」が問われる可能性が高くなります。

いじめ問題だけに限らず
学校での生活態度や素行でも
生徒自身に何らかの問題があり、

その事について保護者が学校から連絡をうけて
注意指導をお願いされているのであれば
対応していかなければなりません。

 

ただ、今回のケースでは学校にいる時に
事件が起きているので
「監督義務」は学校側にあり、

学校側が責任を取るのであれば保護者は
「責任を負わない」と主張しています。

しかし、そのような事は認められず
学校側の安全配慮義務とは別に
保護者に「責任」が認められるとしています。

そして先ほども書いた様に裁判では
「客観的な証拠や事実」が無ければ

相手に責任を問う事は出来ませんので、
弁護士に一度確認をした方が良いでしょう。

 

以上の様に裁判で認められた内容を
まとめてきましたが、

原告(Aとその両親)が求めた請求内容は
次の様になっています。

  • 被告ら(Bの両親と南アルプス市)は原告Aに対し、約6900万の損害賠償を支払う事
  • 被告ら(Bの両親と南アルプス市)は原告Aの両親に対し、約165万の損害賠償を支払う事

裁判が終わった時に原告の請求として
認められた内容については次の通り。

  • 被告らは原告Aに対し、約4400万の損害賠償を支払う事
  • 原告Aの両親の請求内容は認められないから棄却する事

 

【いじめ裁判】いじめで重度の障害を負った場合の学校の責任は? まとめ

今回紹介した判例は平成11年に起きた
山梨県南アルプス市の小学校4年生に起きた
いじめについての裁判になります。

今回の事件を、

  1. 事件の内容
  2. 学校の対応
  3. 裁判でどう認められたのか

の3つにわけて詳しく見ていきました。

今回の事件の様に学校と保護者が連動して
「いじめに対応」している事が

「いじめ問題」を解決して行く上で
非常に大事になってきます。

仮に学校の対応が機能していなくとも
機能していない事実が証明する事が出来れば

今回の裁判の様に「安全配慮義務違反」を
証明する事が出来るかもしれません。

本当であれば子供を預ける学校を相手に
裁判は起こしたくないですよね。

裁判後、もしかするとその学校に
我が子を預けるかも知れないですし。

今回の事例の様にいじめが起きた時の
学校との対応の仕方は非常に難しく、

ましてや今現在起きてしまった場合など
どう対応していけば良いのか
分からない事だらけだと思います。

前にも説明した様に弁護士に一度相談した上で
対応を進めていく必要がありますので、
早めに相談する様にして行きましょう!

「いじめ-ラボ」では
「我が子のいじめ」をベースに
記事を更新していますので、

他の記事も良かったら
読んでみてくださいね!

 

いじめの対処法 「分からない」「どうすれば」をメールで受付中!

この記事で書いている内容は
私たちの子が実際に受けたいじめを
ベースにまとめています。

さらにこの記事を読んでいる
あなたをはじめ、

今現在いじめで悩んでいる方々に
少しでもお役に立てれる様に
日々勉強をしています。

そこで今回は記事の紹介だけで無く
これからどうやって
この問題と向き合って行くか、

分からない事などについて、
私たち家族が経験した事を中心に

「いじめ-ラボ」の相談コーナー
随時相談を受け付けております。

  • 我が子にいじめが発覚して、これからどうして良いのか分からない
  • 学校がキチンと対応してくれなくて不安だ...
  • 子供の様子がいつもとおかしい
  • 誰にも相談出来なくて、今の気持ちを聞いて欲しい!

など、具体的な内容について
相談を受け付けていますので、

私たち家族の経験が
少しでもお役に立てたら嬉しいです。

※「いじめ問題」について具体的な質問やお問い合わせを受付中!

我が家の「いじめ解決までの2年半」を凝縮した「いじめ-ラボ相談ページ」

長文になりましたが、
最後まで読んで頂き
本当にありがとうございました。

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